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黒い、毛の長いねこを飼っていた

みんなもらわれて
のこった一匹は
白くないしオスじゃなかったけど

玄関に出てきて見上げた
ママに「飼おうよ」って言った

味付け海苔がだいすきで
わたしもおやつにしてたし
ねこも喜ぶからよくあげた

だからはやくしんじゃったのかもしれないけど
そういう時代だった

高い絨毯の裏がしっかりしてるとか
ブランドの折りたたみ傘とか
ビールしか売ってなくて
果汁30パーセントで
そういう時代だった

小学生だし新築のマンションだったし
ねこが5階から落ちた
子猫だったから
家の中を探していたら
ピンポンが鳴って
1階の人が
無傷のねこを届けてくれた

何がそんなにかなしかったんだろう
泣いてると
鳴いたり
じっとそばにいたりした

ねむるねこのおなかに耳をあて
ちょっと重みをかける

ころころころころころころころころ


家族みんなさびしかったときに
一人暮らしをはじめたばあちゃんのアパートで
ねこはやせてった

「みみにゃんがしんじゃうかも」って
電話がきて
バイト先で泣いて
シュレッダーかけながら泣いて
早退していいよって言われて
会いに行ったら

ねこは立ち上がって
もうしなくていいのにって
おしっこをいろんなとこにして
賃貸の壁を爪とぎして
毛玉を吐いて
そのほうがましだと思った


ねこがしんで


友だちが娘を産んで
遊びにいって
娘がわたしの背中に寄っかかって
絵本を読みはじめた
声を出さずに
娘が静かに絵本を読んでいる

ねむるねこのおなかに耳をあて
ちょっと重みをかける

ころころころころころころころころ
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