私はロイヤルブルーのセーラー服を着ていて先生はうすちゃいろのコーデュロイのネクタイをしている。
芝生にピントを合わせないまま白髪を西日のベンチで暮れるまでながめたい。
私たちは恋人でなくずっとこれからも何もないので白髪の金をみつけることはない。
伏し目がちに話す声を、目を閉じてずっと聞いていたい。目を合わせたくないけどすべてを感じていたい。先生は2年生を受け持っていて、3年生の私は授業を受けたことがない。
先生の現代文の音読が聞きたかった。演劇部の後輩と3人で準備室で話した。
眠れない女の子が黒い羊に手が届かないという脚本を書いて演出して学校祭の体育館でバスケ部とバレー部を配分する緑色の網はちゃんと結わえられた状態で公演した。私は才能がなくて引用が多すぎて絶望していた。先生はそんな公演を褒めてくれた。嘘だと思った。大抵のことがそうであるみたいにそれは嘘だと思った。
「全然よくないんです」って泣いてしまっても先生は何度も何度もよかったと言ってくれた。

職員室前の緑色の公衆電話の受話器を落とす。廊下が中庭の光で透明みたいに見える。イヤホンをして緑道を歩いて風が強くてバスに乗る。