カテゴリ: 詩人

ういちゃんと初めて会ったのは名古屋のなんやというお店で、2階建てで、
 
この鈴木実貴子ズのMVは1階で、2階がライブスペースで靴を脱いで上がって、客席との境目がなくて木目で床がつやつやしていて何食ってもうまい。鈴木陽一レモンくんの企画で、わたしも彼女も出演者で彼女は17歳で、まだポエトリーリーディングをしていなくて、CHAR BOYSという不思議なバンドで歌を歌っていて、

わたしの耳は基本歌詞は聴き取れないんだけど謎に胸を打たれる歌で好きになって「泣きそうになった」と彼女に伝えた。
次のなんやでは、ういちゃんはポエトリーリーディングをはじめてて、わたしも飲んだことのある向精神薬の名前を引用してて、その少しマニアックなセレクトや引用箇所や海に着くエンディングがとてもかっこよかったので(…向精神薬引用詩は海に着かなかったかも、海の詩や海に着く詩があって好きだった)友だちになろうと思った。いやすでに友だちだったのかな。距離とか関係なく一度好きだと思った人はずっと好きだし、親密な感覚があるしそれは伝わってしまうものだと勝手に思っている。
ういちゃんの魅力に観た人は気づいたし、磨いたし行動したから、2016年のPSJの全国大会に出場することになった。

ういちゃんがPSJ全国大会優勝前提で、わたしにMVをつくってほしいと言った。ちゃんとギャラをもらって、具体的な監督名とかイメージとかたくさん話してつくった。

優勝は逃したけど、彼女のステージは素晴らしかった。前回のPSJの予選のとき「ともちゃんが滑舌をよくしたほうがいいって言ったから滑舌を直した」って言ってて誇らしかった。勝つために考えて実行したことを教えてもらった。わたしは勝負弱いタイプだからすげーと思った。
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ういちゃんのMV「さよならディストーションサウンド」に出てくる部屋はわたしの部屋で今も布団の位置が同じなので、霊感がないのでなんも感じないけど、とうめいのういちゃんとわたしが重なるときがあるのかなと思う。
ういちゃんは「ともちゃんみたいな年上は希望だ」って言ってくれた。
傷つけちゃったかなと思ったときLINEしたら「ともちゃんに傷つけられたことはない」と返信がきた。
記憶力がすごくて、わたしの詩をだいたい覚えていて、「ともちゃんが言いそう」ってパラレルワールドのともちゃん詩みたいのを思いついては言って笑った。
最後に会ったのは2018年10月27日、名古屋でのライブを観に来てくれて、SAN-DAIの名古屋予選も同じ日で、即興したことないのにレモンくんに誘われてなんとなくエントリーして、ういちゃんもエントリーしてた。あんまり観たことない即興だ。

3人とも負けた。予選が終わって観に来てくれた三原千尋ちゃんと行方不レ知くんと合わせて5人でどっか入ろうかと話しながらレモンくんの車を止めた駐車スペースでながながしゃべって解散した。高速バスが来るまで時間をつぶすのをういちゃんは付き合ってくれて、星ヶ丘のコメヤでふたりでしゃべって、23時閉店だから出て、バス停でバスが来るまでしゃべった。銀杏がたくさん落ちていてこれから高速バスに乗るからスリッポンにくっつかないように気をつけた。雨は降ってなかったと思うんだけど、道路が夜を反射して黒くつやつやしていた。違うバスがたくさん通った。
高速バスが来る3分くらい前に好きな人の話をした。夜と車のライトを眺めながら、目を合わさずしゃべった。初恋がいとうせいこうさんで子どものころ(4歳だったかな)から好きでずっと好きでと言った。わたしは17歳からずっと好きな鈴木慶一さんの話をした。顔が好きだという話をふたりでした。
互いに生きているうちのさいごのやりとりはLINEがあるのになぜかその日はTwitterのDMで、
「感受性のゲインのしぼり方わかんないからこないだ東高円寺まで行ってなぜか帰って来ちゃった」
という話で、つまりわたしが住んでいる最寄り駅まで来ちゃったという話で、こないだっていつ、家の前まできたのか、(もしやニャイに会えたりしたのか)ライブで東京に来てたのか、わたしに会いたくて岡崎から来たのか、詳しい話は聞かないまま、夜中だったので眠くて「またその話きかして」と送って「お風呂入るので、またー!」と返信があった。

ういちゃんに限らずなんだけど、創作でつながってる人とそのとき創作のことでピンと来ないとうまく近づけない。だからういちゃんとただの友だちだったらもっとういちゃんとしゃべれたのかもなあと思うけど、一時的に心が乱れても本質的な後悔はしないと思う。「ちがあかビーバップ」のトラックをカオシレーター等の名手でもある彼女がつくってくれて、そのときはピンとこなかったんだけど、思い出してフォルダ探したらあって、聴いてみたらそんなにわるくなくて(当時もっとポップなものがいいとわたしが伝えてそのままになってた)、あーってなって、ガレバン初心者のわたしなりに音重ねてレコーディングすることに決めたので、気長に楽しみにしていてください。
わたしが好きなういちゃんのライブを貼ります。前半もいいんだけど、後半の4分46秒からの「くがつじゅうさんにち」がサイコーなので観てください。

誤解されてもいいから彼女のつくってきたもの、ライブの良さを知ってもらいたいという気持ちが止まらないし、わたしができることをしたいと思う。

ういちゃんとのお別れ会のようなものを東京でします。

「自縛ポエトリー/ういと《安心して愛せる場所を作る》」

5/19(日)


自縛ポエトリー/うい(映像出演)

open 19:00 start 19:30 会費1000円+D
服装はいつも通りで大丈夫です。

オープンマイク(5分)
予約・事前エントリー :tomochan9sai@gmail.com(ともちゃん9さい)
(オープンマイクの事前エントリーが20人になったところで締め切ります)

枠があれば当日エントリー有

会場には献詩台を設けてういちゃんへの想いを詩にしたものや、ういちゃんに渡したいものを置く場所をつくります。当日オープンマイクに参加してくれるレモンくんから、ご家族に渡していただきます。

題名の《安心して愛せる場所を作る》はういちゃんの詩「くがつじゅうさんにち」
(「私はエヴァンゲリオンが好きと言う女が嫌いだ」のやつ)から引用しました。

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ういちゃんのことをレモンくんからに聞いて、名古屋では夏にお別れ会のようなものをやろうという流れになっていると聞いて、ういちゃんは関東でもたくさんライブをしていたし、友だちがいっぱいいるし、何よりわたしはういちゃんとかなり親密な友だちだから、東京で何かしたいと思いました。

ういちゃんが以前

「葬式はいらない。やるなら立食パーティー」

と言っていたそうで、ういちゃんがいやなことはしたくないので楽しい会にしたいけれど、人が亡くなったあとのことは亡くなった人のためだけじゃなくて、のこされた人がそのことを受け止めていく時間と空間だから、いろんなかたちがあっていいと思ってます。でもかしこまらず、ういちゃんのことを愛し続けていることを素直に伝え合える会だったらいいと思います。

カマコちゃんに会ったのは朗読のイベントで数回。たぶん他の人よりすくない。連絡先も交換していない。いつだったか池袋で行われていた大島健夫さん主催のオープンマイクイベント「ポエトライ」で、後ろのカウンター近くの席でカマコちゃんが隣に座ってた感じを思い出してる。
大島さんも言ってたけどカマコちゃんはやさしかったな。やさしくておもしろかった。

2年くらい前、あしゅりんさんからカマコちゃんが闘病中であると聞いた。ブログは更新していると聞いた。ある日、自分が好きだったので「ともちゃん9さい」で画像検索した。なぜかポエトライで朗読するカマコちゃんもヒットした。気になってリンクをたどったら、カマコちゃんのブログがあった。
この日が隣に座った日かもしれないなあと思った。

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無職で評判のともちゃん9さいだがこのころはバイトをしていたので疲れている様子。

それからカマコちゃんのブログの読者だった。iPhoneのサファリのブックマークに入れてときどき読んでいた。朗読のイベントでときどき会う人よりブログの人という印象のほうが強いくらいだ。

「平昌オリンピックまではと思ってたのだがなあ」
という一文を見たとき、動揺した。本人がそう感じるんだからそうなんだと思った。

そしてあしゅりんさんが「カマコがみんなに会いたがっています。」とツイートしたのを見た。

わたしは母方のじいちゃんをがんで亡くしている。じいちゃんのお見舞いにいったらやせ細っていてわたしはそれがとてもこわかった。じいちゃんがわたしに向けて手を差し出したとき、わたしはその手をにぎることができなかった。4歳くらいだからしょうがないんだけど、後悔してるし、それと関係あるのかわからないけど手をつなぐとかにぎるとかがずっと苦手だった。
カマコちゃんに会ったら、わたしはわたしの感情がコントロールできなくなって泣き出してしまいそうで、それが彼女に失礼ではないかと思った。
だから阿部義晴「欲望」を歌ってすこし泣いたりして感情を整理した。あしゅりんさんにDMしたら、明日会えるって教えてもらってクリスマスイブにカマコちゃんに会えた。

彼女が先に帰る友だちの手をにぎって話す姿がめちゃくちゃパワフルで、光としか言いようがなかった。みんな泣いていた。泣いてよかったのかあ!と思った。
カマコちゃんと友だちのなおちゃんのことを八和詩めぐむちゃんが即興でうたった時間は3人の秘密だ。
わたしはあしゅりんさんと待合室で待っていた。あしゅりんさんはこの時間を「静謐(せいひつ)」と呼んだ。わたしは漢字がわからないのでiPhoneで検索したらいちばん上に出てきたウィキペディアを数行読んで「…箱?」と口に出した。それは「聖櫃(せいひつ)」のウィキペディアだった。
カマコちゃんの前で、「あまこえにと」を朗読した。静かに朗読した。

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カマコちゃんとハグしたときわたしのタートルネックの白をほめてくれた。
ご両親ともお会いして、お母さんと手をにぎってご挨拶したのにお母さん泣いてたのにわたしは感情がおっつかなくて泣けなくて、すごく心残りなので、明日は泣きたいです。

アー写レタッチ済み
写真:野中うみ

詩人。映像作家。LOW HIGH WHO?所属。
1975年8月29日生まれ。
北海道釧路市生まれ、札幌育ち。北海道大麻高等学校卒業。北海学園大学人文学部2部日本文化学科中退。

双極性障害、発達障害とつきあいながら演劇や映像など多様性の表現を培う中で独特な歌唱法を身につけ魅力的なリーディングパフォーマンスをする。
2009年に不可思議/wonderboy監修コンピレーション「言葉がなければ可能性はない」に2曲参加。以降、観音クリエイションのアルバム「心白」に「ぼくは自転車に乗れない。」客演参加。2018年にLOW HIGH WHO?より1stアルバム「世界の果て、はて、ハテ。」をリリース。
ポエトリーリーディングの活動歴は15年と積み重ねライフスタイルと密接にある彼女の言葉はとても強く存在する。



もっとながーい
あまこえにと(ファンタジックな自己紹介)

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