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遠足























二階の窓からみてる
箱にとらののらねこがうずまってねてる
ちいさい海が砂時計のまんなかみたいにきらきらしてる
沢で茶色いのらいぬがしんだときく
もう少し毎日の学習を解いていたい

晩ごはんによばれて
宗八の焼いたのと
煮物と
大根と人参をほそくきった味噌汁と
甘い玉子焼きと
たくあんと
ごはんを食べる

石炭で沸かした風呂に入る

布団の中で
手を顔に見立てて
物語をつくって
いつのまにか寝る




現代詩フォーラム
 

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黒い、毛の長いねこを飼っていた

みんなもらわれて
のこった一匹は
白くないしオスじゃなかったけど

玄関に出てきて見上げた
ママに「飼おうよ」って言った

味付け海苔がだいすきで
わたしもおやつにしてたし
ねこも喜ぶからよくあげた

だからはやくしんじゃったのかもしれないけど
そういう時代だった

高い絨毯の裏がしっかりしてるとか
ブランドの折りたたみ傘とか
ビールしか売ってなくて
果汁30パーセントで
そういう時代だった

小学生だし新築のマンションだったし
ねこが5階から落ちた
子猫だったから
家の中を探していたら
ピンポンが鳴って
1階の人が
無傷のねこを届けてくれた

何がそんなにかなしかったんだろう
泣いてると
鳴いたり
じっとそばにいたりした

ねむるねこのおなかに耳をあて
ちょっと重みをかける

ころころころころころころころころ


家族みんなさびしかったときに
一人暮らしをはじめたばあちゃんのアパートで
ねこはやせてった

「みみにゃんがしんじゃうかも」って
電話がきて
バイト先で泣いて
シュレッダーかけながら泣いて
早退していいよって言われて
会いに行ったら

ねこは立ち上がって
もうしなくていいのにって
おしっこをいろんなとこにして
賃貸の壁を爪とぎして
毛玉を吐いて
そのほうがましだと思った


ねこがしんで


友だちが娘を産んで
遊びにいって
娘がわたしの背中に寄っかかって
絵本を読みはじめた
声を出さずに
娘が静かに絵本を読んでいる

ねむるねこのおなかに耳をあて
ちょっと重みをかける

ころころころころころころころころ
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(キムラ)
「はじめまして」

の夜のことを君は覚えているかい
東京、明大前、階段を上がる
猫に誘われた僕は怪し気なBARの中
回る円盤の上で踊る詩人
紙芝居みたいにハラハラめくられる運命の国
小演劇は小宇宙
実を言うと僕はあんまり覚えちゃいない
ただただ妙に生々しくて妙に美しかったことだけ覚えてる

ねぇ、君はあの夜のことを覚えているかい

 
(とも9)
オリーブと美少女みたい
少年が赤いダッフルコートで抱きっついてきたら
欲求不満熟女じゃなくたって忘らんない
けど君
の、目線は気にしないまま
演じた
という重要なこと
君と親密じゃないから気にしないままにやったの、あれが最初で最後ってこと。


(キムラ)
きっと恋だったんだよ
なんてチープな台詞でドラマにしよう
僕らの死生観を飲み下してあの夜を無理矢理ドラマにしよう
君が綺麗じゃなくてよかった
君が大切な、それこそ音楽の魔法みたいに
どちらかが死ぬまでとびきりドラマチックな友達でいよう
 

(とも9)
「なんでもいいや」「名前なんて」
「君も…◎×△(うまくきこえない、とぎれる)そう思うだろ」ってほぼ毎日 あ 焦がれたわるい大人みたく言ってんだ
君の肌のすべみたいにわたしもわたしやり直したい
そうでもない?
わるい大人、たのしい。
たのしい?。


(キムラ)
「名前は大事だよ」
「名前に意味はあるのか」
「僕にはわからないや」

君が死んだって僕は何も変わらない
まさか
冗談だろ
憧れが自分のせいで後ろめたさに変わる日が来るなんて
いつかの僕は知っていたかい
タイムマシーンがあるならぶん殴りたい自分が幾人かいる
そういうもんかい
「僕にはわからないや」
 

(とも9)
電子レンジでチンして出来上がった細胞がふるえてる
欲求不満熟女料理はラップがうすうすにはって
アツアツでじょうずにはがせない

「君はぜんぶわかってる、」「熱い。」
はがしかたググる、「わたしも。」「わたしもぜんぶわかってる、」

「わたし君のことぜんぶわかってる。」

って真夜中に電話越しで言って、
君とあの好きなうたの早朝の横断歩道をわたってみたい


(キムラ)
わかってるわかってるわかってるわかってるわかってるよ
わかったフリばかり重ねて何もわからなくなった
わかったフリばかり重ねて誰にもわかられないまま
わかったフリばかり重ねた食品サンプルのミルフィーユ
見せかけばかりで美味しくないから嫌われてしまった
今じゃ軽蔑してたインスタント食品にすら少なからず憧れている
クソみたいなインディーズバンドのアビーロードのパロディジャケットみたいで
でも部屋の隅 重ね続けたその一枚一枚がいつか未来になるかもって
気づかないフリして重ね続けてるコドモとオトナの間
群青の初夏


(とも9)
君にわたしのカメラの中の青空どうしても見せらんない
海風と砂まみれはわたしとカメラの中だけで
いっしょにいた大好きだった人とカメラの中にさえいないんだから
振ると砂の音がする真夏のカメラ
「熱い。」

「音楽は魔法じゃない」って、
「言葉は呪文じゃない」って

とうにわかっちゃって
わたしの声「かわいいは正義」
だから、これから、
ささやく未来にさいてわるくない
君はおしゃべりすぎる!(わるくない)!

横断歩道は早朝の新宿で、
真夏の夜行バス目がいたくてまぶしくてからだもいたくてべとべとしてやけにひろい横断歩道
すれちがう君と
どうするかまだぜんぜんわかってないって

まるでさよならじゃないみたい
「はじめまして」
って、ぜんぜんさよならじゃないみたい  



まだまだ先の話なんだけど
ぼくがじいちゃんになって、はげちゃんになっても
バレンタインチョコ、たんじょうびプレゼント、ボジョレヌーボー
あける瞬間みててくれる?

真夜中3時すぎたら
チェーンかけられてこまる

ぼくが必要なきみ
おとうふとあげとねぎのおみそしると焼きジャケと納豆と味付けのりの
朝ごはんたべたい
ぼくが64歳になっても

きみだって年をとる
きみとぼくだけの言葉ささやいて
そばにいるから

ぼくは電気が切れたらあの高いブレーカー持ち上げる役に立つ男
きみは背が小さいから暖炉のそばでゆらゆらセーター編んでる

日曜の朝はぜんぶの窓全開でドライブに行こう
庭をいじって 草をむしって

なんだか

ぼくが必要なきみ
ちょっとべちょっとしたチャーハンつくる
ぼく64歳だからもたれちゃうけど

毎年夏には田代島(じま)に小さな別荘を借りてネコの写真いっぱい撮ろう
高くないといいね
500円玉貯金しよう

きみのひざにはかわいい孫
ひろねちゃん、とんぼちゃん、ともちゃん、ねこちゃん

リプじゃなくてファボじゃなくて既読じゃなくて電話じゃなくて表情じゃなくて
手紙がほしい
きみの字の手紙がほしい
声に出せない言葉たち、ゆらゆらならぶ
ぼくちょっとずつ死んでゆくから
だからこの解答用紙を埋めて
「俺のものは俺のもの、お前のものは俺のもの」の
ほんとうの意味を教えてください

ぼくが必要なきみ
土曜の午後はじゃがいもゆでただけのやつバターしょうゆで食べよう
録画した探偵ナイトスクープみよう

ぼくが64歳になっても

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